君の隣で、私になれた



週末。


また違う店。

違う女の子。

違うホテル。

違う夜。


その繰り返し。



ーー職場で休憩中。


営業の先輩と同期。


先輩が俺の方を見て言う。

「神崎最近ペースやばくね?」

「大学より遊んでるだろ?」


「営業始めたら止まんなくなりました」

「仕事のせいにすんな!」

「先輩もじゃないですか」

「くっ、否定できない」

先輩は呑気に笑って続ける。

「彼女とか作ったりしないの?」

「いらないっすね!」

「お前っぽいな!ちなみになんで?」

「面倒なんで」


そう言うと。

みんなが呆れたように笑った。




外から見れば何も変わらない。


いや前より、

もっと遊んでる。

もっとチャラくなった。

そう見えてるかも。


でも誰といても。

心のなかには何も残らない。


笑って。

飲んで。

抱いて。

終わる。


それだけ。


本気で好きになったのは。

たったひとり。


でもその想いは。

伝えることも、叶えることも、

きっと一生できない。


だったら気持ちを消すしかない。


そう思うのに。

消す方法なんてどこにもなかった。




「神崎!二軒目!」

「行きます!」


また笑う。

また飲む。

また誰かと夜を過ごす。


それでも。

心だけはどこにも動かなかった。