君の隣で、私になれた



ーーー同日。

ーー莉桜side.


家へ着く。

シャワーを浴びて。

髪を乾かし終えた頃。

インターホンが鳴った。


「湊。」

ドアを開けると。

「お疲れ」

少し疲れた顔の湊が笑う。

「急にごめん、顔見たくなって」

「ううん、来てくれて嬉しい!」

自然と笑う。


最近はお互い忙しくて。

会える日も少ない。

だから少しだけ嬉しかった。


2人でソファに座る。

他愛ない話をして。

いつものように今日の出来事を話す。


「今日ね、福岡便だったの」

「うん」

「そしたら偶然、琉生も乗ってて」

「……」

湊の表情が止まる。


「神崎くん?」

「うん、出張だったみたい」

「…へぇ」

静かな返事。

「それで?」

「仕事終わったあと合流して」

「羽田でご飯食べて」

「電車で帰ってきた」

「……。」

部屋が静かになる。


「なんで?」

「え?」

「なんで2人?」

「ご飯って神崎くんとだったんだ?」


私は。

前に湊とした約束を思い出す。

“ちゃんと話して。”


だから全部をちゃんと話した。

前日のグループLINE。

偶然同じ便だったこと。

空港で少しだけご飯を食べたこと。

帰る方向が同じだったこと。


「……そう。」

湊は頷く。

でも、どこか冷たかった。


「ご飯、奢ってもらったの?」

「うん。私払うって言ったんだけど…」

「なんで受け取るの?」

「……」

言葉に詰まる。


「電車も?一緒だったの?」

「品川まで…」

「なんで時間ずらさなかったの?」

「え……?偶然だったし……」

「偶然でも男と2人は意味が分からない」

胸が少し痛む。