君の隣で、私になれた



あっという間に品川駅に到着。

改札。


「じゃあここで」

「うん、今日はありがとう」

「ご飯までごちそうになっちゃった」

「偶然だけど会えてよかった!」

莉桜は笑って言う。


「……そうだな」


本当は。

偶然じゃなくても会いたい。


でも、そんなことは言えない。


「じゃあね!」

莉桜が改札を通る。

一度だけ振り返って手を振る。


俺も小さく手を振り返す。

その姿が見えなくなるまで。

自然と目で追っていた。


莉桜の姿が見えなくなる。

「……。」

もう否定できない。

勘違いでも。

一時の感情でもない。


会えば苦しくて。

笑えば嬉しくて。

離れれば寂しい。

こんな気持ち。

他に理由なんてない。



俺は。

やっぱり莉桜が好きだ。



認めたら終わる。

そう思って目を逸らしてた。


でも。

もう認めるしかない。

好きなんだ。


誰よりも叶わない相手を。



ーー…


そして、その日の夜。

ベッドに入って。

ふと今日のことを思い出す。


制服姿。

仕事中の顔。

「めちゃくちゃ綺麗だったな…」

ぽつりと呟く。


照れて笑った顔。

改札で手を振る姿。


もう既に会いたい。


さっき別れたばかりなのに…

重症だな。


思わず1人で笑った。