君の隣で、私になれた



ーー琉生side.


バーを出る。


夏の夜。

まだ少しだけ蒸し暑い。



「楽しかったー!」

紅羽が大きく伸びをする。

「3ヶ月ぶりだったもんね」

莉桜も笑う。


「また来月!」

「今度こそ予定合わせよ!!」

「頑張る」

4人で決意して笑う。



その時。

1台の車が店の前へ静かに止まった。


「……。」


見覚えのある車。

助手席のドアが開く。


運転席から降りてきたのは。


「湊!」

莉桜の声。


その瞬間だった。

莉桜の表情がぱっと明るくなる。


「お疲れ」

湊さんも笑う。

その笑顔は。

俺たちに向けるものとは違う。

優しくて柔らかい。


「楽しかった?」

「うん!」

「久しぶりだったからずっと喋ってた」

嬉しそうに笑う莉桜。

「よかったね」

湊さんも安心したように笑う。


それだけ。

ただそれだけなのに。


胸の奥がぎゅっと締め付けられた。



「湊くん、こんばんはー!」

紅羽が湊さんに声をかける。

「こんばんは。」

「今日はありがとうね」

「久しぶりにみんなに会えるって」

「莉桜、ずっと楽しみにしてたから」


「いえ!こちらこそ!!」

紅羽は笑って答える。

新も少し笑う。

それに対して湊さんも笑う。


そして。

そのまま俺を見る。


「神崎くんも今日はありがとね」

「……いえ」

普段通りに笑う。

笑えてるはずなのに苦しい。