君の隣で、私になれた



その時。

莉桜のスマホが震えた。


「ごめん、ちょっと出てくる!」

席を立つ。


その背中を。

気付けばまた見送っていた。





ーー数分後。


「ただいま!」

戻ってきた莉桜は。

さっきより明らかに嬉しそうだった。


「なにその顔!」

紅羽がすぐそれに気付く。

「上機嫌じゃん!」

「湊くん?なんて?」


「今日、迎え来てくれるって」

少し照れながら笑う。

「最近全然会えてなかったから」

「……嬉しい」


「きゃーー!」

紅羽が両手で頬を押さえる。

「いいなぁ!ラブラブじゃん!」

「そんなことないよ」

莉桜は照れ笑い。

「いやあるだろ」

新が笑ってさらっと言う。

紅羽も頷く。

「幸せそう」

みんな笑う。


「……。」

俺だけ笑えなかった。


なんだ?

この感じ。


胸の奥が少しだけざわつく。

迎えに来る。

それだけの話なのに。