君の隣で、私になれた



「でも…」

琉生が続ける。

「変わんないなって思って。」

「付き合っても、付き合わなくても、」

「やることは一緒だし。」


「はぁ、最低」

紅羽が即答する。

「最低だな」

新まで呆れたように頷く。

「ひど!」

琉生は苦笑い。


「莉桜は?」

紅羽が私を見る。

「どう思う?」

「うーん……」

少しだけ考える。

私は琉生の恋愛を近くで見てきた。


彼女ができても琉生はいつも通り。

別れてもいつも通り。

本気で悲しそうな顔も。

本気で嬉しそうな顔も。

見たことがない。


だから。

少しだけ聞いてみたかったこと。


「今まで…本気で好きだった人は?」


部屋が少し静かになる。

琉生は天井を見ながら考えてる。

そして。


「……いないかも」

「えぇ!?」

紅羽が立ち上がる。

「あれだけ付き合ってゼロ!?」

「本気で好きとか分からない」

「最低!」

紅羽が笑って言う。


「いつか辛い片思いして思い知れ!」


「ひど!」

琉生も笑う。

みんなも笑う。




私は少しだけ。

さっきの言葉が気になった。


『本気で好きとか分からない』


そんなことってあるんだ。


私は誰かを好きになるって、

もっと自然なものだと思っていた。

だから少しだけ不思議だった。



「じゃあ!」

紅羽が勢いよく指をさす。

「初彼女は!?いつ??」

「たぶん中1」

「早っ!」

「まぁ…琉生っぽいけど」

「だろ?」

琉生は少し得意そうに笑う。

「褒めてない!!」

紅羽も笑う。


「今まで何人くらい付き合ったの?」

「数えてない」

「うわ、最低」

「また最低って言った」

「だって最低だもん!」

紅羽がクッションを抱えながら笑う。




恋愛って。

人によって本当に全然違う。


私にはきっと。

琉生みたいな恋愛はできない。


でも。

だからこそ。


こんなに違う4人で。

こうして笑っている時間が。

なんだか心地よかった。