君の隣で、私になれた



「は…!?」

「距離近っ!」

「お前肩組んでるじゃん!」

「え、てか普通にツーショ?」

「成瀬さん今日のビジュやばすぎ」

「可愛すぎるだろ!!!」

「いや綺麗すぎ!!」


「てか琉生だけずる!!」

スマホを取り合う。

「送れ送れ!」

「これは自慢するわ…くっそ」

「だろ?」

少しだけ…いやかなり得意になる。



その時。

1人が思い出したように言う。


「そういやさ。」

「文学部のやつから聞いたんだけど」

「成瀬さん。」

「男とのツーショ全部断ってたらしいぞ」

「ツーショは彼氏いるからって」

「連絡先も全部断ったらしい」


「うわー、隙ないなぁ」

「ほんと徹底してんな」

「成瀬さんらしいけど!」

笑いながら話すみんな。


でも、俺だけ止まった。

「へぇ……」


俺とはツーショ普通に撮った。

肩も組んだ。

嫌そうじゃなかった。

むしろ笑ってた。



「てことはツーショ撮ったの琉生だけ?」

「男ではたぶんそう」

「琉生だからじゃね?」

友達が口々に言う。


「だって昔から仲いいじゃん」


「あー、それはありそう」

「成瀬さん琉生には警戒ゼロだもんな」

「兄妹みたい」

みんな納得する。


兄妹。


「……。」

そうだ、その通り。


兄妹みたい。


その言葉に。

少しだけ肩の力が抜けた。


俺たちは、ただ仲がいいだけ。

莉桜にとって俺は安心できる友達。

それ以上じゃない。


それでいい。

それが普通だ。


なのに、昼間のツーショットを思い出す。

肩に触れた温度。

笑いながら当たり前みたいに近い顔。

『送ってね!』

嬉しそうに笑う声。



なんで。

まだ思い出してるんだ?


友達ならこんなこと。

いちいち気にならないだろ。


いや、考えすぎだ。

卒業式でちょっと意識しただけ。

たぶんそれだけ。



そういうことにしておこう。


このくらいが今の俺には。

一番しっくりきた。