君の隣で、私になれた



ーーー経済学部 謝恩会。

ーー琉生side.


ホテルの宴会場。



「かんぱーい!」


グラスがぶつかる。

「卒業おめでとー!」

「社会人怖いわ」

「いや楽しみだろー」


「てか琉生、今日写真撮られすぎじゃね?」

「さすがに疲れたわ」

「全部断らないからだろ!」

「まぁ卒業式だし?」

俺は少し笑う。


友達がふと俺の方を見て言う。

「そういや。」

「お前ほんと彼女作んねぇな」

「たしかに!前は途切れなかったのに」

「今はいらないかなー」


「またそれ。」

「卒業式なんてチャンスだったじゃん!」

「後輩にも囲まれてたし!」

「可愛い子いたぞ。」

「いたっけ?」

正直、誰の顔も覚えてない。

それくらい俺にとってはどうでもよかった。


「興味なさすぎ!」

「悪い男だな、まじで!」

周りが呆れたように笑う。


その流れで。

一人がグラスを持ちながら言う。

「でもさ、片思いってマジ面倒くさい」

「お。急にどうした?」

「最近気付いた、俺好きなんだわ」

「前言ってたゼミ一緒だった子?」

「そうそう」

「だから最近ぼーっとしてんのか」



「なんか気付いたら探してんだよ」

「あー。」

別の友達が頷く。

「分かる、片思いあるある」

「教室入った瞬間探す」

「他の男といるの見るとモヤモヤする」

「ずっと笑顔が頭から離れない」


「あー。完全に恋じゃん」

「青春してんなぁ」

「もう終わりだなお前」

みんなが爆笑する。

俺も一応笑う。



でも心のどこかで引っ掛かった。


気付いたら探す…

いや、偶然だろ。




「そういえば!」

別の友達が声を上げる。

「成瀬さん!」

「結局写真撮れなかった!」

「あーー!俺も!」

「探したのに!」

「文学部にも寄ったのに!」

項垂れる。

そしてみんなが俺に視線を向ける。


「琉生、お前会った?」

「会った」

「は、マジ?」

「写真も撮った!」

少し自慢気に笑う。

「は??」


スマホを取り出して写真を開く。

「ほら。」

桜の木の下。

袴姿で笑う莉桜。

そして。

肩を組んだツーショット。