君の隣で、私になれた



髪が触れる。

顔が近い。


「……」


ドクン。


心臓が鳴る。

まただ。


自分から腕を回すのは平気なのに。

向こうから近付かれると。

なんでこんなに……



「これいいね!」

莉桜は嬉しそうに笑う。

「送ってね!」

「……」

「琉生?聞いてる?」

「あ、ごめん、送る。」

「ありがと!」

また笑う。



嬉しそうに笑う莉桜。

その笑顔を見て。

また胸がざわつく。


「……」


今日だけで何回目だ?


綺麗だと思った。

笑顔に見惚れた。


近付かれるだけで。

心臓がうるさくなる。


こんなの今まで一度もなかった。



俺。

もしかして。


莉桜のこと──…




そこまで考えて首を振る。


……落ち着け。

相手は莉桜だぞ。


仲の良い友達で。

妹みたいな存在で。

彼氏もいて。


そんな相手を今さら。


「……。」


いや。

さすがにないだろ。


そう思った。



でも。

胸のざわつきだけは。

最後まで消えなかった。





その時。


「おーーい!!」

遠くから紅羽の声が響いた。


そこで初めて我に返った。