君の隣で、私になれた



ーー大学4年の春。


桜舞う季節。

卒業式。




理工学部 ― 新 ―


グレーのスーツ。

黒シャツ。

ベージュのネクタイ。

大学生らしい少しラフな着こなし。


「新!」

男友達に呼ばれる。

「写真撮ろ!」

「おう。」

少し笑って輪へ入る。

「お前社会人になっても」

「その冷静さなんだろうなー」

「そうだな」

「即答かよ!」

笑い声。


女子たちにも呼ばれる。

「関谷くん!」

「写真いい?」

「もちろん」

自然に並ぶ。


最後まで。

誰に対しても変わらない。




文学部 ― 莉桜 ―


淡いピンクとホワイトの袴。

片側へ流した編みおろし。

パールの髪飾り。

いつもより少しだけ大人っぽいメイク。


「莉桜!」

女友達が駆け寄る。

「可愛い!」

「写真撮ろ!」

何枚も。

何枚も。

笑ってシャッターを切る。


「莉桜っ!」

男友達が声を掛ける。

「写真撮ろーぜ!」

「うん!みんなも入ろ!」

自然に周りを呼ぶ。

ツーショットは撮らない。


また別の男子。

「成瀬さん!」

「連絡先聞いてもいい?」

少し困ったように笑う。

「ごめんね…彼氏いるから。」

「そっかー、まぁそうだよね!」

「写真は良い?」

「うん!みんなで撮ろう!!」

また笑顔。


少し離れたところ。

文学部の後輩男子たち。

「やっぱ可愛い……。」

「写真頼みたい」

「無理だろ」

「いやでも今日しかない」

勇気を出して近付く。

「成瀬先輩!」

「写真お願いしてもいいですか!?」

「もちろん!みんなも入ろ!」

また自然に全員を呼ぶ。

「ありがとうございます!」

嬉しそうな後輩たち。


最後まで。

誰も嫌な気持ちにはさせない。