君の隣で、私になれた



「……。」

鼓動が少しだけ速い。



前を歩く紅羽が振り返る。

「いいなー!私もおんぶー!」

「断る」

「差別!」

「紅羽は自分で歩け」

「ひど!」


その様子を見て新が笑う。

「お前は元気すぎる」

また笑い声。




ーー駅前。


タクシー乗り場。


「莉桜、着いたぞ」

「ん……。」

莉桜はゆっくり降りる。


「あ。」

俺を見て少し申しわけなさそうに笑う。

「ごめんね……重かった?」

「いや。軽かった」

「そっか」

次は安心したように笑う。


「琉生ありがとう」

タクシーへ乗り込む。

「またね」

「おー。気を付けて帰れよ」

「うん」



ドアが閉まる。


タクシーが走り出す。


その姿を見送る。



「……。」


首元にまだ。

莉桜の手の温もりが残っている気がした。



気のせいか。


そう思って。

俺も駅へ向かって歩く。