君の隣で、私になれた



ーーー夏祭り。


大学1年の夏休み。

大学生になって初めての夏休み。

今日は4人で夏祭りに来ている。




「やばーい!」

紅羽が焼きそばの屋台を見つけて走り出す。

「焼きそば食べたい!」

「さっきたこ焼き食っただろ」

新が呆れたように言う。

「それとこれとは別!」

「何が違うんだ」

「全然違う!」

相変わらず親子みたいな2人。


「琉生!」

「ん?」

「りんご飴買ってきて!」

「なんで俺が」

「優しいから!」

「理由になってない」

「お願い!」

「仕方ねぇな」

「よっ、イケメン!!」

「知ってる」

「腹立つ!」

こっちもいつものやりとり。



「みんなで写真撮ろー!」

「またー?」

「夏祭りだよ!?」

「だから?」

「だからだよ!」


紅羽の提案でよく写真を撮る。

遊ぶたびに写真が増えて行く。

思い出が増えていく。

それが目に見えてわかって私は結構好き。


「もっと寄って!」

紅羽がスマホを掲げる。

「新、顔怖い!笑って!」

「普通だろ」

「怖い」

「普通」

また言い合いしてる。

「莉桜!新笑わせて!」

「無理だよ」

無茶振りすぎる。

結局、新が笑顔だったかはわからない。

けど無事に写真は撮れた。



「莉桜」

「ん?」

琉生に呼ばれて振り向く。

「その髪いいね、可愛い」

いつもの笑顔で琉生が言う。

そして、私の髪を触る。


今日は夏祭り。

だからいつもよりちょっと頑張った。

編み込みをして両方におろしてる。



琉生はふつうに「可愛い」って言う。

そして距離感もかなり近い。


この言動に最初は戸惑ってた。

でも今はあまり気にしていない。

琉生は誰に対してもだから。

そこに悪気もなければ下心もない。