「琉生?」
紅羽に呼ばれる。
「ん?」
「さっきから静かじゃん」
「結婚興味ないタイプ?」
俺は苦笑する。
「いや、まだ22だぞ?」
「結婚とか全然想像できない」
新も頷く。
「まぁ、それは分かる」
「俺もまだだな」
「えー!男って夢ない!」
「夢じゃ食えない」
「新は黙って!」
また笑いが起きる。
俺も笑う。
でも。
さっき胸に引っ掛かったものだけは。
最後まで消えなかった。
ーー披露宴終盤。
新郎がマイクを握る。
新婦へ向き直る。
「これから先も。」
「笑って。泣いて。喧嘩しても。」
「ずっと一緒にいよう。」
「一生幸せにします。」
会場中が拍手に包まれる。
自然と。
俺も拍手をしていた。
ふと隣を見る。
莉桜は新郎新婦を見つめたまま。
小さく笑っている。
その目は少し潤んでいた。
……。
そんなに…好きなんだ。
結婚…夢なんだ。
その顔を見て初めて気付いた。
莉桜は。
きっといつか。
好きな人とあんなふうに笑うんだ。
……湊さんと。
また胸の奥が少しだけざわついた。
理由は分からない。
でも目が離せなかった。
「琉生。」
紅羽に肩を叩かれる。
「もう終わるよ!」
「……あぁ。」
我に返る。
もう一度だけ莉桜を見る。
嬉しそうだった。
それだけなのに。
なぜかその笑顔が。
頭から離れなかった。
