ーーー結婚式場。
ーー琉生side.
秋晴れ。
バイト先の先輩の結婚式。
4人で初めての参列。
「みんな久しぶりー!!」
紅羽が大きく手を振る。
「今日は一段と派手だな、紅羽」
「うるさい!」
「結婚式なんだからこれくらい普通!」
「いや。紅羽が着ると派手!」
「褒めてる?」
「半分。」
「半分ってなに!」
紅羽はボルドーの膝丈ドレス。
ゴールドのアクセサリー。
巻き髪のハーフアップ。
いつも派手だけど今日はもっと派手。
でも華やかで似合ってる。
紅羽がこっちを見てニヤッと笑う。
「てか琉生はブラック似合うね〜」
「かっこいいじゃん!」
「ありがと。」
「マジで見た目だけは100点!」
紅羽が笑う。
「一言余計だな」
「中身は50点」
「おい、下がりすぎだろ」
「50は高すぎる」
「おい新!お前ら今日とくに辛辣!」
また笑いが起きる。
そんな新はグレーのスーツ。
白シャツに深いグリーンのネクタイ。
派手さはないのに、不思議と目を引く。
そして。
「ごめん!待った!?」
「いや、みんな今来た」
唯一そっち側を向いていた新が答える。
紅羽も振り返る。
「えっ!莉桜めっちゃ可愛い!!」
「そのドレスすごい似合ってる!」
「ありがとう…」
少し照れたように笑う莉桜。
その横で俺も口を開く。
「可愛──」
言葉が止まる。
一瞬だけ。
「……いいじゃん!」
「似合ってる!」
「ほんと?」
「うん。色も莉桜っぽくて合ってる」
俺は少し笑う。
「ありがとう!」
莉桜も嬉しそうに笑う。
莉桜はライトパープルのミモレ丈ドレス。
シルバーのアクセサリー。
ゆるくまとめたシニヨン。
透明感があって色白な肌と合ってる。
上品で可愛さもあって莉桜っぽい。
「琉生もブラックのスーツ似合うね」
「かっこいい」
莉桜が笑って言う。
一瞬だけ心臓が鳴る。
「……ありがと。」
俺は細身のブラックスーツ。
白シャツにシルバーのネクタイ。
明るい茶髪もしっかりセットした。
やり取りを見てた紅羽がすぐ笑う。
「あれ?」
「私の『かっこいい』には普通だったのに」
「莉桜に言われたら照れてない?」
「気のせいだろ」
「えー、怪しい〜」
「そろそろ式始まるぞ。」
「あ、やば!」
4人で顔を見合わせて笑う
誰も気付かなかった。
『可愛い』
いつもなら何も考えず言えていた。
その一言が。
今日は。
なぜか言えなかったことに。
