ーーー大学4年の晩夏。
ーー莉桜side.
ホテルのナイトプール。
夜風が少しだけ涼しい。
ライトアップされた水面が揺れていた。
「綺麗……」
思わず声が漏れる。
湊が笑った。
「気に入った?」
「うん。すごく。」
ゆっくり水に入る。
照明が水面に映って。
まるで別世界みたいだった。
「……」
少しだけ恥ずかしくなる。
湊が選んでくれた水着。
くすみピンクのクロスホルター。
可愛い。
でも少し大人っぽい。
湊は少し黙ったまま私を見つめた。
視線がゆっくりと私を追う。
水着。
髪。
照れた表情。
そしてもう一度目が合う。
「……」
「な、なに?」
湊は小さく笑う。
「似合ってるよ」
そのまま前髪を耳にかけるように髪に触れる。
指先が頬をかすめる。
「莉桜に着てほしいと思って選んだから」
「……っ」
「正解だった」
思わず顔が熱くなる。
「恥ずかしい……」
「今更?」
笑う湊。
「もう全部知ってるのに」
「そういうことじゃない!」
思わず笑いながら返す。
湊も笑う。
照れて胸元を隠そうとすると。
湊は私の手をそっと下ろした。
「ちゃんと見せて」
「本当に似合ってる」
照れながら。
私は小さく頷いた。
「ありがとう」
湊は少し嬉しそうに笑う。
「こちらこそ」
少し泳いで。
二人で水に浮かぶ。
周りの話し声も。
音楽も。
遠くに聞こえる。
「最近……全然会えなかったね」
私が言う。
湊は少し苦笑した。
「ごめん、実習で余裕なくて」
「ううん。」
「頑張ってるの知ってるから。」
「だから今日来れて嬉しい」
湊は何も言わず。
私の手をそっと握った。
前みたいな強さじゃない。
優しく。
確かめるように。
私も握り返す。
