ーーー授業終わり。
ーー莉桜side.
文学部。
教室を出た。
廊下を歩く。
前から歩いてくる人と目が合った。
琉生。
心臓が小さく跳ねる。
また避けなきゃ。
そう思って足を速めた。
「莉桜」
名前を呼ばれる。
立ち止まる。
ゆっくり振り返る。
「……。」
「少しだけ話せる?」
断れなかった。
中庭。
人の少ないベンチ。
並んで座る。
沈黙。
風だけが吹いていた。
何を言えばいいのか分からない。
そんな私より先に琉生が口を開いた。
「噂、関係あるんだろ」
胸が苦しくなる。
琉生はすべて気付いてた。
私は俯く。
「……。」
「やっぱり。」
「湊さん?」
返事はできなかった。
でも。
黙ったままの私を見て。
琉生はそれ以上聞かなかった。
「……ごめん」
やっと出た言葉。
「でも避けなきゃと思って…」
「だから……」
「ごめんなさい」
琉生は小さく首を振る。
「謝んな」
その一言だけで。
胸がいっぱいになる。
「でも…噂になったら…」
「また湊が……」
最後まで言えなかった。
琉生は静かに息を吐く。
「分かってる」
「全部じゃないけど大体は分かる」
その言葉に。
少しだけ救われた。
何も説明していないのに。
この人だけは。
分かってくれていた。
「でもさ。」
「このまま逃げ続けても…」
「お前が苦しいだけだろ」
「……っ」
図星だった。
苦しかった。
毎日のように嘘をついて。
みんなを避けて。
笑って。
全部。
苦しかった。
