君の隣で、私になれた



ーーー大学4年の春。

ーー莉桜side.


噂はまだ消えていなかった。



昼休み。

文学部。


授業が終わる。

スマホが震えた。


紅羽からのLINE。

『学食行こー!』

指が止まる。

少しだけ目を閉じた。


『ごめん!』

『今日は友達と約束してる!』

送信。


(また……。)

(ごめん。)


画面を閉じる。

歩き出す。

誰にも会いたくなかった。




ーー翌日。


『今日もごめん!』

『先約あって。』

送信。


(また嘘。)

(ごめん。)


胸が苦しかった。




ーー数日後。


4人のグループLINE。


紅羽から。

『金曜飲み行こー!』

新。

『行ける』

琉生。

『おっけー』


少し遅れて。

『ごめん!その日は予定入ってて…』

送信。


(本当は。)

(行きたい。)

(みんなに会いたい。)


スマホを伏せた。




ーーその日の夜。


湊から電話。


「今日は?」

「……断った。」

「そう。」

沈黙。


「神崎とは?」

「話してない。」

「2人では?」

「会ってない。」

また沈黙。


「そう。よかった」

「噂が落ち着くまで続けよう」

返事ができない。


「返事」

「……はい」

電話が切れる。


私はベッドへ座り込んだ。


(違う。)

(こんなことしたいわけじゃない。)

(ごめん。)

(みんな。)