そしてついにー…
ーー信濃町キャンパス。
医学部。
4年生の女子たち。
「ねぇ、一個下の成瀬さん知ってる?」
「美人で有名な子でしょ?文学部だっけ?」
「そうそう。」
「彼氏ってうちの学部だったよね?」
「西条くん。主席の。」
「でも今すごい噂になってるらしいよ」
「成瀬さんと神崎くんが付き合ってるって」
「神崎くんって経済学部の!?」
「そうそう、あの超イケメンな子」
「え?なにその強すぎる組み合わせ」
「てか別れたの?」
「そこまでは分かんない」
「でも大学中その話だって」
「三田の方でも結構有名らしいよ」
「えーー」
「しかも最近よく一緒にいるって」
「神崎くんが文学部によく来てるらしい」
「どっちも有名だからそりゃ噂なるよねぇ」
「しかも彼氏、西条くんでしょ?」
「なかなか修羅場じゃない?」
「まぁ噂だけどね」
その時。
廊下を歩いていた湊の足が止まる。
隣の友人。
「どうした?」
湊は女子たちへ視線を向ける。
「……いや。」
女子たちの話は続く。
「でもさ。」
「もし噂が本当だったら…」
「普通に美男美女でお似合いだよね」
「いいなー」
「しかも西条くんフリーになるってこと?」
「それは倍率やばそう」
「私らなんか相手にされないって」
「それはそう」
笑い声。
友人が苦笑する。
「最近、噂まわってるらしい」
「別れてないよな?」
「別れてない」
湊は笑う。
「なら気にすんな」
「大学の噂なんてどうせ適当だから」
「そうだな」
友達が前を歩く。
湊は静かにスマホを取り出す。
莉桜とのトーク画面。
最後のメッセージ。
『今授業終わった!』
共有された位置情報。
三田キャンパス。
数秒見つめる。
画面を閉じる。
そのまま。
ゆっくり歩き出す。
表情は変わらない。
湊のスマホを握る手に力が入る。
保護ガラスが小さく”パキッ”と鳴った。
