君の隣で、私になれた



ーー経済学部。


「おい!琉生!」

「ん?」

「あの噂マジ?」

「何。」

「成瀬さん!」

「マジで付き合ってんの?」

「友達とか言っといて結局かよ!」

「強奪じゃん!」

琉生は吹き出す。


「なんだその噂」

「付き合ってないから!」

「マジ?」

「大マジ」

「それはそれで残念」


笑いながら。

その場は終わった。


琉生はまだ。

その噂の重さを知らなかった。




ーー商学部。


「ねぇ紅羽!」

「成瀬さんと神崎くんって付き合ってるの?」

「……は?」


紅羽も。

初めて噂を知る。




ーー矢上キャンパス。


理工学部。


「お前のバイト仲間。」

「付き合ったらしいじゃん。」

「は?」

「神崎と成瀬さん」

「大学中その話でもちきり」


新は少し考える。

「……いや、ないな」

「絶対ない」


意味が分からなかった。




ーー三田キャンパス。


学食。

紅羽と琉生と莉桜。


周りが何度も見る。

ひそひそ。

「ほら。やっぱ一緒にいる」

「仲良さそうだし」

「絶対付き合ってるって」


紅羽が聞く。

「ねぇ、噂。」

「あれ嘘だよね?」


「嘘!」

莉桜が即答。

「ほんとに違う!」

「私、別れてないし…」

「琉生とも付き合ってない!」

少し声が大きくなる。


周りが振り向く。


「いやマジで違うから!」

笑って返す琉生。

「普通に友達、はい終了。」


でも。

莉桜だけ笑えない。

青ざめていた。


琉生はその表情に気付く。


「……莉桜?大丈夫?」

小さく聞く。

莉桜は慌てて笑う。

「うん!大丈夫!」


その光景を。

また誰かが見ていた。


「見た?」

「やっぱり付き合ってるじゃん」

「神崎くん心配してる」

「絶対そうだよね」



否定するほど。

噂は大きくなっていった。