噂は誰かが作るものじゃない。
誰かが少し話を足すだけで。
本当とは違う形になっていく。
ーー三田キャンパス。
昼休み。
文学部棟前。
莉桜が出てくる。
「お、来た」
文学部棟の前で待ってた琉生。
「莉桜、授業終わった?」
「終わった!」
少しだけ立ち話をする2人。
他愛ない会話。
紅羽からLINE。
『もう学食いるよー』
「行くか。」
学食で紅羽と合流する。
この頃から。
昼休み。
経済学部の琉生が。
文学部へ来ることが少しずつ増えていた。
理由なんて本人は考えていない。
「最近どう?」
「大丈夫?」
それだけ。
でも。
周りには違って見えていた。
ーー文学部。
女子学生。
「また神崎くん来てる」
「最近毎日じゃない?」
「成瀬さんと仲良いよね」
「この前も2人でずっと話してたし」
「もしかして付き合ってる?」
「でも彼氏いたよね?」
「別れたらしいよ」
「ほんと?」
「知らないけど絶対そうでしょ」
笑う。
噂は…
文学部から。
商学部。
経済学部へ。
少しずつ広がっていった。
そして本人たちの元へー…
「莉桜!彼氏と別れたの!?」
「え?」
「大学中で噂になってるよ!」
「神崎くんと付き合ってるって!」
「ほんとなの!?」
莉桜は目を見開く。
「え、なにそれ……」
「別れてない!」
「それに琉生とも付き合ってない!」
必死だった。
「ほんと?」
「ほんと!」
でも、胸がざわつく。
湊。
その言葉が頭をよぎる。
顔色が変わった。
