君の隣で、私になれた



「ごめ……」

違う。

「ごめん……」

止まらない。

私は顔を覆った。


琉生は少し近付く。

でも。

一切触れなかった。

抱き締めない。

肩にも触れない。


少しだけしゃがんで。

目線だけ合わせる。


「……もう我慢しなくていい」

「無理して笑わなくていい」

「ずっと我慢してたんだろ」


その言葉で。

私は声を上げて泣いた。



ーー…


どれくらい泣いただろう…


少し落ち着いてから。

私はゆっくりと話し始めた。


「……最初はね。」

「ただ心配してくれてるだけだと思ってた」


そこから全部話した。

飲み会のこと。


「返事」

「……はい」

「違う」

「……ごめんなさい」

そのやり取り。

いつの間にか当たり前になっていたこと。


車の中。

家。


「考えて」

「答えて」

「また同じ」

「俺が何で怒ってるか分かる?」

答えられないと。

何度も考えさせられること。


昨日。

「怖い。」

そう初めて口にしたこと。


そのあと。

何事もなかったみたいに。

優しく抱き締められたこと。



私は全部話した。


琉生は一度も遮らなかった。


ただ一度だけ。

「……そんな毎回なの?」


私は小さく頷いた。

「うん」

少し沈黙。


「でも…」

「湊は悪い人じゃないの」

「私がちゃんと考えれば怒らないし」

「全部、私が悪いから」


その瞬間。


「違う」

初めて琉生が私の言葉を遮った。

私は顔を上げる。

「……え?」