君の隣で、私になれた



ーー厨房。


洗い物をする莉桜。


「熱っ」

思わず手を離す。

熱いお皿。

そのまま袖を大きくまくる。


その瞬間。


肘。

その少し上。

また肌色のテープ。


一枚。

二枚。

三枚。


「……」


首だけじゃない。

腕だけでもない。

そこまで隠す?


胸の奥がざわつく。


「莉桜」


もう一度。

今度は真剣に聞く。


「それ」

「本当に大丈夫?」


莉桜は一瞬だけ止まる。

そして。

いつもの笑顔。


「大丈夫!心配しすぎ!」

そう言って袖を戻した。




ーー営業終盤。


再び厨房。

大きな段ボール。

高い棚。


俺が「取るよ」と言う前に。

莉桜が背伸びして段ボールに手をかける。

段ボールが落ちる。

俺は反射で受け止める。

「っ!」

段ボールは避けられる。


でも。


莉桜のシャツ。

肩が少しだけずれる。


肩。

鎖骨。

また肌色のテープ。

一枚じゃない。

見えただけでも何枚もあった。


「……」

莉桜は慌てて襟を直す。

「ありがとう!」

笑う。


でも。

その笑顔が苦しかった。




ーーバイト終わり。


「お疲れ」

「お疲れ!」

新は先に帰る。

俺も早めに着替える。



「莉桜?」

バックヤードに声をかける。

返事なし。

もう帰ったのか。


ふとテーブルを見る。

莉桜のスマホ。

忘れてる。


俺はそのスマホ持って外へ出た。