君の隣で、私になれた



ーーー湊の車。

ーー莉桜side.


車内は静か。

無音。


さっきまでの湊とは別人みたいに。

何も話さない。



その沈黙が何より怖い。

私はは何度か口を開こうとする。

けど結局何も言えない。



湊の家に着く。

玄関。


静かだった。

靴を脱ぐ。

いつものように。

リビングへ向かおうとする。


「待って」

低い声。

私は動きを止めた。


「こっち」

その一言だけで。

今日がいつもと違うことは分かる。



リビングとは反対側。

寝室。


扉が閉まる。

私は小さく息を吐く。



「今日さ」

湊がベッドに腰掛けて話し出す。

立ったままの私。


「楽しかった?」

「……うん」

「そう。よかったね」

少し笑う。

その笑顔が逆に怖い。


「神崎もいたし」

胸が少し苦しくなる。

「……うん」

「いつも助けてもらってるんだって?」

「……」

「何回助けられたか分からない?」

私は首を横に振る。


「そういう意味じゃなくて」

「じゃあどういう意味?」

「ただ……」


「友達だから」

その言葉で湊の表情が変わる。


「また友達?」

「違うの」

「何が違う」

私は言葉に詰まる。


「答えて」

「……」

「莉桜」

「……」

言葉が出ない。


「返事」

「……はい」

「はいじゃない、説明して」


湊が立ち上がる。

少しずつ距離が近付く。



私は一歩下がる。

後ろは壁だった。

逃げられない。