ーーー大学3年の冬。
個室の居酒屋。
久々に4人で飲みに来ている。
乾杯。
それぞれの就職先を発表する流れに。
紅羽。
「じゃあ発表します!」
「集英社編集部です!!」
意気揚々と大きな声で発表する。
「おおーー!」
「すごい!」
紅羽は大喜び。
新。
「積水ハウス」
「建築設計」
淡々と簡潔に発表する。
「大手ハウスメーカー!」
「新すぎる」
新が少し笑う。
莉桜。
「ANA」
「国際線CA」
控えめに笑って発表する。
「さすがだな」
「しかも大手じゃん」
「きたーー!」
紅羽が莉桜に抱きつく。
琉生。
「メルセデス・ベンツ営業」
飄々と笑いながら発表する。
「絶対似合う」
「宣言通りか」
「高級車買う時はよろしく!」
「割引なしな」
「ひど!」
みんなで笑う。
そしてあっという間に時間は過ぎる。
気付けばもう帰る時間。
4人で店を「あ、まって、私トイレ行ってくる!」
「俺も」
紅羽と新が店内へ戻る。
店の前。
予期せぬ琉生とふたり。
私は焦って思わず周りを見渡す。
湊の車はまだ見えない。
よかった。
少しだけ安心する。
階段を下る。
なかなか慣れないヒール。
「あっ」
私は足を滑らせる。
転ぶ…
そう思ったのに転んでない。
目の前には琉生。
その琉生の服を掴んでもたれる私。
そして私の腰を支える琉生の手。
「危なっ」
私は慌てて離れる。
「ごめん!ヒール慣れなくて…」
「大丈夫?」
「うん、ありがとう」
「就活終わったしもう履かなくて済むな」
そう言って琉生は笑う。
「ほんと一安心」
私も笑う。
