君の隣で、私になれた



「ごめん」

立ち上がる。

「ちょっと電話してくる」

廊下へ出る。



ーー10分後。

「……」

『だから何回言えば分かる?』

「ごめん」

『ごめんじゃなくて何考えてんの?』

「だって友達だから」

『またそれ?そろそろ学ぼうか?』

「……」

『神崎だけじゃない』

『男はみんなそうだから』

私は何も言えなかった。

『返事』

「……はい」

『それだけ?』

「…ごめんなさい」

沈黙。

『…次からは分かるよね?』

「…はい」



私はスマホを耳から離す。

小さく息を吐く。

「はぁ……」




教室へ戻る。


「ごめん、お待たせ!」

そのまま笑って席に座る。


「長かったな」

琉生が言う。

「うん、ちょっと…」

いつもどうり笑う。

でも少しだけ。

笑顔が固くなってしまう。


「大丈夫か?」

琉生が聞く。

「大丈夫!」

私は笑って頷く。

今回こそいつもの笑顔。






ーー…


この前からなんでだ。


なんかずっと違和感がある。



10分。


ただの電話にしては少し長すぎる。


それに。

電話へ行く前より少しだけ。

無理して笑っているように見えた。



「じゃあ続きやるか」

新の声で空気が戻る。



俺も。


気のせいだと思ってた。



まだこの頃は。