君の隣で、私になれた



「……うわ」

紅羽が琉生を指差す。

「何その反応」

琉生が笑う。


「いや、めっちゃイケメン」

「ありがとう」

「腹立つ」

「何でだよ」

笑いながら近付いてくる。


そして。

ふと私を見る。

一瞬だけ。

足が止まる。


「……」

「ん?」

少し笑って。

「莉桜、なんか雰囲気変わったな」

「え?」

「いつもよりちょっとだけ大人っぽい」

「ちょっとだけ?」

「ちょっとだけ」

褒められてるのか分からない。


「琉生もチャラくなくなった!」

「それ褒めてる?」

「褒めてる!ほんとに似合ってる」

「やった」

琉生が笑う。


そして視線を横へ向ける。

「で、お前は誰だ?」

「うるさい!私だよ!」

紅羽が即ツッコミ。

「ギャルどこ行った?」

「うざ!」


琉生は次に新を見る。

「お前も誰?」

「お前が誰だ」

新が即答した。

「確かに」

紅羽が笑う。


「琉生もチャラさゼロじゃん!」

「爽やか営業マンじゃん!」

「目指してますから」

得意げに笑う琉生。


「似合うの腹立つ」

「そんな褒められると照れる」

「うるさ!」

4人で笑う。



笑い声は。

大学一年の頃と変わらない。



でも。


暗い髪。

黒いリクルートスーツ。


少しだけ大人になった私たちは。


今日からまた。

それぞれの未来へ向かって歩き始める。