君の隣で、私になれた



ーーー大学3年の夏。

ーー莉桜side.



大学の中庭。


待ち合わせの5分前。

私は少し早めに中庭へ着いた。


鏡代わりのスマホ画面を見る。


暗い髪。

きっちりまとめた一つ結び。

黒いリクルートスーツ。


いつもの自分なのに。

なんだか別人みたいだった。



「……緊張するな」

小さく呟いた、その時。


「お」

聞き慣れた声。

振り返る。

新だった。


黒髪。

剃り込みもない。

金メッシュもない。

前髪も自然に下ろしている。

黒いリクルートスーツ。

いつもの少し怖そうな雰囲気が消えていた。



「……誰?」

思わず笑う。

「失礼だな」

新も少し笑った。


「似合ってる」

「ありがとう」

「新も…真面目そう」

「元から真面目だ」

「たしかに」

2人で笑う。




その時。

「やっほーー!!」

元気な声。

紅羽だった。


暗い髪をきっちり一つ結び。

ナチュラルメイク。

黒いリクルートスーツ。


「え!!」

思わず声が出る。

「うそ、紅羽!?」

「じゃーんっ!」

くるっと一回転。


「誰かと思った?」

「思った!」

「超真面目そうじゃない?」

「うん、就活生って感じ!」

「でしょー!」

紅羽は満足そうに笑う。


新が小さく頷く。

「意外と似合う」

「意外とは何!」

「ギャル感ないと別人」

「褒めてる?」

「褒めてる」

「ならよし!」

3人で笑う。



その時。

「お待たせー」

振り返る。

最後は琉生。


黒に近い髪。

前髪を少し上げた爽やかなセット。

リクルートスーツ。

いつものチャラさが消えていて。

綺麗な顔立ちが際立ってる。