ーーーバイトを始めて1ヶ月。
気付けば私たちは。
シフト以外でも集まるようになっていた。
「かんぱーい!」
紅羽の声と同時にグラスがぶつかる音。
居酒屋の個室。
大学帰りの4人。
たった1ヶ月前まで他人だったとは思えない。
「やっぱ学校おわりの酒最高ー!」
紅羽がビールを一気に飲む。
相変わらず豪快。
明るい茶髪のロングヘア。
綺麗に巻かれた髪。
小麦色の肌。
派手なアイメイク。
どこからどう見てもギャル。
なのに不思議と嫌味がない。
むしろ一緒にいると元気になる。
そんなタイプだった。
「恋バナしよ!」
「無理」
紅羽の提案を新くんが即却下する。
「早っ!」
「興味ない話すことない」
「絶対嘘でしょ」
…向かいに座る新くんを見ながら思う。
相変わらず見た目はいかつい。
短く刈り上げた髪。
金色のメッシュ。
鋭い目。
黙っていると本当に怖い。
初対面に日なんて話しかけるのを躊躇ったくらい。
でも実際は違う。
誰よりも面倒見が良くて頼りになる。
バイトでもみんな困ったら新くんを呼ぶ。
本人は嫌そうだけど。
「じゃあ好きな人いる?」
「いない」
「好きな芸能人は?」
「知らない」
「好きなタイプは?」
「ない」
「めんどくさ!!」
2人のやりとりに全員が笑う。
「じゃあ紅羽は?」
琉生くんが聞く。
「気になる人いる!」
「へぇー、どんな人?」
「優しくてかっこいい!」
「情報少な」
新くんがつっこむ。
「うるさい!」
「優しいってなに?」
「私にだけ優しい!たぶん!」
「たぶんかよ」
「面倒くせぇ」
「なんでよ!」
2人に呆れられて怒る紅羽。
また笑いが起きる。
