囚われアリスは館の中


そんな偶然、あるのかな?


「あの…私もアリスっていうの、よろしくね」


ぎこちなく笑いながら握手を求める。

だけど、その手が握り返される事はなかった。

そのかわり、黒いアリスはくるりとその場で身を(ひるがえ)し、楽しそうな声を響かせる。


『いい事を思いついたわ!さっきキレイなお花を見つけたの、それをテーブルに飾ればもっと華やかなお茶会になるはずよ』


黒いアリスがパタパタと足音を鳴らしながら部屋の奥に向かった。

呆気にとられる私を振り返り、大きく手を振る。


『ついてきて!案内してあげる!』


走り去る黒いアリスの背中を見つめながら、数回まばたきをした。

どうしよう…私のお茶会じゃないのに。

考える間にも黒いアリスは広い部屋の奥に消えていく。


「ま…待って!」


迷ったあげく、その後を追いかける。

奥に進むにつれて、辺りはまるで森のように景色が変わっていった。

床には土が敷かれていて、そこから太い根を生やした木々が伸びている。

ここは本当に建物の中?

自問するけど答えはでない。

とにかく今は黒いアリスを追わなくちゃ。


「アリス!どこにいるの?」


息を弾ませながら走り、辺りを探す。

黒いアリスはどこにもいない。