すぐ後ろに、白ウサギの気配。
私の首を絞めているのが、彼の手だと気づいたのは…それからすぐの事だった。
「そうだね、寂しいけれどお別れしないと」
冷たい声が耳元に響いた。
横目で見た彼の赤い瞳はどこまでも暗い。
「“今日のアリス”とはお別れだ。でも大丈夫、きっと“明日のアリス”なら僕の望む答えをくれるよね」
「な…に……言って……」
首に力が込められていく。
息ができない。
苦しい。
白ウサギが何でこんな事をするのか、どうしても分からなかった。
「いいこだね、アリス。君は起きたら全部忘れてしまうけれど…僕が、僕達が今日の君を覚えているから、何も心配しなくていいんだよ」
目の前が歪む。
頭が真っ白になっていく。
消えかかる意識の中、チクタクと秒針を刻む音が不釣り合いにその場に響いていた。
「おやすみ、アリス」
最後に聞いた白ウサギの声は、とても穏やかで。
それが何だか、とても悲しかった。
*
*
*



