囚われアリスは館の中


すぐ後ろに、白ウサギの気配。

私の首を絞めているのが、彼の手だと気づいたのは…それからすぐの事だった。


「そうだね、寂しいけれどお別れしないと」


冷たい声が耳元に響いた。

横目で見た彼の赤い瞳はどこまでも暗い。


「“今日のアリス”とはお別れだ。でも大丈夫、きっと“明日のアリス”なら僕の望む答えをくれるよね」


「な…に……言って……」


首に力が込められていく。

息ができない。

苦しい。

白ウサギが何でこんな事をするのか、どうしても分からなかった。


「いいこだね、アリス。君は起きたら全部忘れてしまうけれど…僕が、僕達が今日の君を覚えているから、何も心配しなくていいんだよ」


目の前が歪む。

頭が真っ白になっていく。

消えかかる意識の中、チクタクと秒針を刻む音が不釣り合いにその場に響いていた。


「おやすみ、アリス」


最後に聞いた白ウサギの声は、とても穏やかで。

それが何だか、とても悲しかった。