「白ウサギ、お前さんはこの状態を楽しんでると思っていたんだけどニャア」
「このままじゃアリスが可哀想だからね、頼むよ」
「そうかい、それなら特別に行ってきてあげるかニャア」
ネコさんはニヤニヤと笑みを浮かべると、煙のように消えていった。
消えていくなんて不思議な体ね。
ネコさんがいた場所をポカンと見つめていると、白ウサギが私の肩をつついた。
「ねえアリス、今は散々な目に合っているけれど、この館はどうたったかな?」
そう問われて、私は今日これまでの記憶を辿る。
白い部屋で白ウサギに出会って、女王様とトランプ兵長達のティーパーティーに参加して…。
迷いの通路に迷い込んで、白ウサギとたくさん走ったっけ。
その後…帽子屋と三月ウサギのお茶会にも参加して、楽しくお喋りして、甘い紅茶を飲ませてもらった。
「色々な人と色々な事があって、楽しかったわ」
「それは良かった!君さえよければ、明日はまた違う部屋に遊びに行こう!」
白ウサギの目が輝いて、私の手を掴んだ。
「涙の川が流れている部屋もあるんだ!水漏れする事があって厄介なんだけど泳いでいる物も日ごとに変わって楽しいんだよ!」
「それは面白そうなお誘いね…だけど、その」
楽しげな白ウサギに、私は一瞬ためらってから言葉を口にした。
「やっぱり私、外に出てお家に帰りたいわ」



