囚われアリスは館の中


「きゃ__痛っ!」


驚いて頭を動かした瞬間、思いきり天井にぶつかった。

痛みにもだえている私の横で、紫色の男の子に白ウサギが小さく手を振る。


「やあ、チェシャ猫!“今日は”男の子の姿なんだね?」


「いいや?気分で変わるかもしれないニャア」


「あはは、違いない!君は性別も一人称も、存在すら自由だからね」


「猫ってのは自由の象徴だからニャア」


親しげに言葉を交わす二人。

友達なのだろうか。

会話に割って入る事になるけど、今はお喋りよりも先にしないといけない事がある。

話の切れ目を狙って、私は口を開いた。


「あの…ネコさん、私達を助けてくれないかしら」


声をかけるとネコさんは「んニャ?」と首を傾げる。


「アリスは何か困ってるのかニャア?」


「クッキーを食べたら体が突然大きくなって困っているの!元の大きさに戻る方法を知らない?」


ネコさんは耳をピクピクと動かしながら、私達の目の前まで浮かび上がった。

そしてスンスンと鼻を動かし、「この匂いは…」と呟くと、空中で腕を組んであぐらをかく。


「お前さんら、女王のクッキーを食べたんだニャア?あそこの食べ物はヘンテコな効果があるから、食べるのはオススメしないニャアよ」


…女王様のクッキー?