「笑い事じゃないわ、どうしましょう」
天井にまで達した私と白ウサギの体。
身動きもできず、窮屈に身を屈めているせいで全身が痛い。
ふと、すぐ目の前に白ウサギの顔があった。
眼鏡の向こうできらめく赤い瞳が、とてもキレイ。
「アリス、顔が赤いよ?どうかした?」
そう言われ、すぐに視線を逸らす。
男の子とこんな風に密着するなんて初めてで…どんな顔をすればいいか分からない。
「アリス?何か怒ってる?それとも体勢が辛いのかい?」
心配する白ウサギが、私の手に自分の手を重ねて顔を覗き込んできた。
「っ…」
顔に熱が集まってくる。
お願いだから、そんなに近くに来ないで…。
白ウサギを意識すればするほどに、その声や表情、息づかいに感覚が集中していく。
「アリス?…ねえ、どうしたの…大丈夫?」
白ウサギの温かな手のひらが、私の頬に添えられた。
顔が近い。
「えっと…その…」
耐えられずに視線を下へと逃がす。
するとそこで、誰かと目が合った。
「おや…オイラはお邪魔だったかニャア?」
紫色の髪の毛に、同色の獣耳とフサフサの長い尻尾。
ふわふわと宙に浮かぶ男の子が、そこにいた。



