部屋の中とは思えないような木々が茂る森のような通路を並んで歩く。
そして帽子屋達の姿が見えなくなるほど歩いた先。
私と白ウサギはぽっかりと開けた場所までやってきて、足を止めた。
「ここで少し休憩しようか、アリス」
そう言って白ウサギがクッキーを取り出した。
リボンのついた可愛らしいラッピング。
その中に入れられた、ピンクのアイシングがかかったクッキーは、ついさっき三月ウサギから貰った物だった。
二人で床に座りこみ、クッキーをかじる。
甘くて美味しいお菓子を食べながらぼんやりと天井を眺めた。
水色に塗られたそこには、羊のように白いモコモコとした雲が描かれている。
まるで外の世界をマネしているかのような光景。
そういえば“迷いの通路”も女王様のパーティー会場も、帽子屋のお茶会も…どこも植物が植えられていて外を感じる作りになっていたっけ。
この館を作った人は、何で室内に“外”を作ろうとしているんだろう。
外の景色が見たいなら、外に出ればいいのに。
そう思っていると、体に違和感を感じた。
なんだか…天井が近くなってきてるような…。
いや、そうじゃない。
これは…私の体が…。
「おやおや…参ったね」
白ウサギが苦笑いを浮かべる。
その体は天井にピッタリとくっつくほど大きくなっていた。



