「扉は私の近くに…目の前ばかり見てたらいけない…」
それはつまり、私が今いるこの通路のどこかに“出口”があるという事だ。
そしてその“出口”は…目の前をみていては見つからない場所にある。
目の前…。
前……?
「そういえば…前に前にと進んでいたけれど、後ろに戻った事はなかったわ」
最初に扉を開けた時、同じ通路が広がっている事に驚いて、そのまま後ろを振り返った事はある。
だけどその時、扉は開けっ放しだった。
一度きちんと扉を閉めて、それからもう一度開けてみたら…何か変わるかもしれない。
「やってみましょう」
私は来た道を戻り、後ろの扉へと歩みを進める。
__何をしてるの?
__どこにいくの?
__そっちには何もないよ。
急にうるさくなった声には耳も貸さず、入り口だった扉の前に立つ。
大丈夫。
これがダメなら、今度は壁や床…“目の前の扉”以外を調べればいいだけ。
小さく息を吐いて、ドアノブをひいた。
「っ…」
明るい光が扉の隙間から漏れ出して、ぎゅっと目を瞑る。
見飽きた風景とは明らかに違うその場所へと足を踏み出した。



