「やぁ、帽子屋。それに三月ウサギ」
白ウサギが声をかける。
“帽子屋”と呼ばれた一人と、“三月ウサギ”と呼ばれた一匹がこちらに気づいて『おぉ!』と声を上げた。
「白ウサギにアリス、遅かったではないですか。もうお茶会は始まっておりますよ」
「そうだそうだ!さぁ、席に座って!心ゆくまでお茶会を楽しもうじゃないか!」
「え…えっと…」
「お言葉に甘えようか、座ろうアリス」
あまりにも急なティーパーティーの誘いに困惑をしながらも、白ウサギに促されて席につく。
テーブルの上にはいくつものティーポットとカップ、お菓子や帽子、ニンジンが置かれていた。
なぜか花の飾られていない花瓶も置かれていて、女王様のパーティー会場とはまた雰囲気が違う。
「さぁ、ここまで来るのは大変でしたでしょう。どうぞノドを潤して下さいね」
帽子屋が淹れてくれた紅茶のカップを見て、私は顔を引きつらせる。
さっきの女王様の紅茶を思い出したからだ。
湯気を放つ紅茶を前に、体を固める私を見て帽子屋が問いかけた。
「どうされました、アリス。紅茶はお嫌いで?」
それについてどう答えればいいか分からず黙り込んでいると、横から白ウサギが代弁してくれた。
「先ほど頂いた女王様特製の紅茶が強烈でね。それが口に合わなかったので警戒しているんだよ」



