それから何度も扉を開いたけど、ずっと同じ通路が続いている。
ダメだ。
いくら試しても“迷いの通路”から出られない。
私は息を切らしながら白ウサギに視線を向けた。
「ねえ、あなたはここから出る方法を知っているんでしょう?教えてちょうだい」
「おや、降参かい?アリス」
「えぇ、もう走りすぎてくたびれたわ」
素直にそう伝える。
すると白ウサギはクルッと背を向けて、来た道を戻り始めた。
不思議に思いながらついていく。
彼の足は、今さっき通ったばかりの扉の前で止まった。
後ろに戻ってもさっきと同じ通路が続いているだけなのに…。
「女王様がいた部屋まで戻るの?そんな事したら今度こそ弓矢で貫かれてしまうんじゃない?」
「その心配はないよ、これこそが“迷いの通路”の攻略法だからね」
「どういう事?」
私が尋ねると、白ウサギはニコリと笑う。
「いつだって“前”に進むだけが道じゃないさ」
開かれた扉。
その先からふわりと漂う花の香りと紅茶の匂い。
そこに広がる光景は…またしてもティーパーティーだった。
だけど、いるのは女王様でも、四人の騎士でもない。
大きなテーブルを囲んで仲良くお喋りをしていたのは、帽子を被った男の人と垂れ耳のウサギだった。



