囚われアリスは館の中


私は首を傾げる。

試せと言われても…ただ扉に向かって歩くだけでしょう?

目の前の通路をぐるりと見渡す。

風も吹いていないのに、植物の影が動いているような錯覚を感じて目を擦る。

本当に不気味な場所ね。

一人じゃなくてよかった。

繋いだままの白ウサギの手を、強く握りしめる。

そのまま扉へと足を向けた。

その時。


__ふふふ。


笑い声が聞こえて、足を止める。


「今の声は…何?」


後ろにいる白ウサギを振り返ると、彼はこてんと首を傾げて微笑んだ。


「おや、笑われてしまったね」


「笑われたって…何から?」


「ここにいる存在から」


そう言って白ウサギは耳をピンと立てた。


「ほら、耳をすませてご覧よ」


__クスクス。


__あはは。


__えへへ。


声が…笑い声が幾多にも重なり聞こえる。

周囲を確認するけど、私達以外には誰もいない。

私は白ウサギの手を引っ張り、走った。

扉を抜ければ、次の部屋へ行ける。

そう思って、辿り着いた扉を開く。

そこには。

扉の先には、同じ光景が広がっていた。

植物の茂る、不気味な通路。

私はその先に見えた扉へと向かって走る。

不安が募るこの場所で、白ウサギだけが楽しそうに笑っていた。