囚われアリスは館の中


「わたくしの淹れた紅茶が飲めないというの…?」


女王様から発せられた恐ろしい声。

鋭い睨みが私を突き刺す。

冷や汗が流れるのを感じながら、後ずさった。

白ウサギが私を背中に庇うように立つ。


「申し訳ない、女王様。子供のアリスと僕にはまだ、あなたが淹れて下さった紅茶のこの味わい深さは難しいみたいで…」


その言葉を聞いて、女王様が不機嫌そうにそっぽを向いた。


「そうっすよ、女王様。この繊細な味は白ウサギとアリスにはまだ早いっす」


クラブがティーカップを掲げながら爽やかな笑顔で言い放つ。

それにダイヤとスペードも頷いた。


「大人の味ってやつですよー、これは。子供舌の二人にはこの紅茶の美味しさは到底分かり得ないでしょーね」


「あんな貧乏舌の下民に、これ以上あなた様の淹れた紅茶を振る舞うなんてお止め下さい。ただでさえ貴重な一品なのに無駄にしてしまいます」


「そう…それもそうね」


女王様が納得したように頷き、再びティーカップに紅茶を注ぐ。

酷い言われようだけど、その通りなのかもしれない。

大人になれば、あの苦味も渋みも美味しく感じるのかしら。

立ち尽くす私に、ハートが声をかける。