「ちょっと聞き耳を立ててみようか」
いたずらっ子みたいな顔をした白ウサギが、そっと扉に耳をくっつけた。
私も好奇心から耳を扉につけて、部屋の会話に集中する。
『あーもう美味しい!女王様の淹れて下さった紅茶って、なんて香り高くて美しいんだろう!』
『ちょっとハート、嬉しいからって飲み過ぎだよ。僕なんて大切すぎてまだ数口しか飲んでいないのに…』
『女王様がご自身で淹れて下さる紅茶の美味しさは、とても言葉では説明しきれませんよー。ねぇクラブ?』
『そうっすね、ダイヤ。わざわざ俺達を労って下さるお心もありがたいっす。今日は最高のティーパーティーっすね~』
楽しげな笑い声。
そんなに美味しい紅茶なら、私も飲んでみたいな。
「どうやらお茶会をしているみたいだね」
白ウサギが呟く。
それからアゴに人差し指をのせて、何かを考えるように視線を動かした後、彼は私を見た。
「招待状は無いけれど、ここを通してもらわないと次の部屋に進めないね。女王様達のお茶会に飛び入り参加させてもらおう!」
「えっ?そんな…私、心の準備がまだ__」
「ほらアリス、覚悟を決めて」
白ウサギが私の手を握り、もう片方の手で扉を開いた。
開かれた扉の隙間から、みずみずしい花と淹れたての紅茶の良い香りが漂ってくる。



