彼はピョンとベッドから飛び降り、私の手を握る。
そのフレンドリーな仕草に私はこてんと首を傾げた。
「あなたは誰?私を知っているの?」
「もちろんさ。この館の人間は、皆アリスを知っているよ」
そう言われて目を丸くする。
皆、私の知り合いなの?
目の前にいる、彼も…?
じゃあなぜ、私はそれを覚えていないの?
「ごめんなさい、私は自分の事しか覚えていなくて…」
何だか気まずくてうつむいていると、男の子が笑った。
耳をピョコピョコと動かしながら「気にしないで」と繋いだ手を優しく握り直す。
「これからまた知っていけばいいんだよ。…そうだ!今から僕と、館の中を探検しないかい?」
「えっ?」
「そうだよ、それがいい!僕が案内してあげるね」
そう言って引っ張られる手。
私は重心を反対におきながら、それを拒んだ。
「ごめんなさい、私…お家に帰らなきゃいけないの」
そう伝えると、男の子は寂しそうな顔をした。
「お家に…?…そう、そっか…君は館の外に行きたいんだね」
黙ってしまった彼の顔を覗き込み、私は優しく声をかける。
「そうなの。外に出るための出口を探してて…もしよければ、案内をしてもらいたいのだけど…」
私がそう言うと、男の子はこんな提案をしてきた。



