そこにいたのは、ロープから落ちて動かなくなったあのトランプだった。
…よかった、元気を取り戻したんだ。
安堵する私をちらりと振り返るトランプ。
そのまま女王様の目の前に駆け寄っていく。
そしてピョンピョンと飛び跳ねながら大きな声でこんな事を言いだした。
「女王様、どうかアリスにご慈悲を!」
その言葉を聞いた女王様の眉間にシワが寄る。
ハートが、携えた剣を素早くトランプに向けた。
「何コイツ。女王様に意見するなんて生意気なトランプ兵なんだけど?」
見下ろすハートの鋭い目つきに、トランプが「ひぃっ」と声を詰まらせる。
後ずさる足。
震える紙の体。
それでもトランプは声を上げた。
私を守るために。
「アリスはロープから落ちて動けなくなったぼくを、優しくポケットに入れてくれたんです!どうかお考えを改めて下さいませ!」
「…そう、あなたの言い分は分かったわ」
「女王様!ならばアリスの処刑は撤回__」
喜び、その場で飛び跳ねるトランプ。
私も“もしかして”と期待に胸を膨らませる。
女王様はニコリと笑い…パチンと指を鳴らした。
その瞬間。



