囚われアリスは館の中


__ガチャリ。


扉が開く。

人工の照明とは違う、太陽の明るさに目がくらむ。

それでも足は止めなかった。

風が心地良く吹き抜けていって、やっと後ろを振り向く。

大きな館の入り口の扉。

その前にハートとスペードが立っている。

彼らは私を追いかける事なく、去って行く私の背を見て笑っていた。

何で…二人は追いかけてこないの…?

その疑問の答えを、私はすぐに体で知る事になる。


__パシュンッ


何かが風を切って、私の左足を貫いた。

ガクンと落ちる視線と、地面に伏す体。

痺れるような痛みを感じて、視線を足へ向ける。

刺さっていたのは__矢だった。

皮膚を突き破った矢は、ふくらはぎを地面に縫いつけている。

零れ落ちた赤い液体が肌を伝い地面を湿らせた。


「はぁ…はぁ…」


激しく脈打つ心臓からチクタクと音が聞こえた。

足音が遠くから近づいてくる。


「どうっすかー、ダイヤ特製の弓矢の威力は。めっちゃめちゃ効くでしょ?痺れ薬も塗ってあるんすよー」


物陰から現れたのはクラブと呼ばれた男の子だった。

彼は爽やかな笑みを浮かべながら、私の目の前にしゃがみ込む。

そして、私の首筋に短刀を突きつけ、冷たい視線で言い放つ。


「チェックメイトっす、罪人アリス」


私の意識はそこでプツリと途絶えた。