いや、違う。
私が元の大きさに戻ったんだ。
あの小瓶の中に入っていた飲み物の効果は切れてしまったらしい。
嬉しい反面、それによる心配が生まれる。
この扉の先…もしも、まだ女王様がいたら?
あの恐ろしい形相を思い出して、ぶるりと体が震える。
「でも…このままここにいても何も変わらないわ」
そう自分に言い聞かせて、私は目の前の扉をそっと開いた。
女王様は…?
辺りを見回す。
広間はしんと静まり返っていて、それが逆に不気味でもあった。
誰も…いない?
そろりと部屋の中に入り、胸をなで下ろす。
そして視線を外と繋がる大きな扉に向けた。
「やっぱりここに戻ってきたね」
「きゃっ__」
声と同時に飛び込んできた何かを、間一髪で避ける。
切り落とされた髪の毛が、数本はらりと目の前を舞い落ちていく。
「はぁ?避けるとか生意気だねお前」
そこにはハートがいた。
バラ園に続く扉には鋭い剣が刺さっている。
もし避けていなかったら…。
私は外を目指して駆けだした。
「行かせないよ」
スペードの声がしたけれど、振り向く余裕はない。
真後ろで何かを床に叩きつける音がした。
扉に手が届く。
あと少し。
もう少し。
そして、遂にドアノブを掴んだ。



