そのまま足を伸ばして座り、パッと手を離す。
すべり落ちていく体は右に左に緩やかに下っていき、やがて明るい場所へと到着する。
すべり台の終着点で待っていたのは、見覚えのあるあの場所だった。
「ここは…女王様と会う前に通ったバラ園?」
バラの色は白から赤に変わっていたけど、ふわりと香る品の良い香りは、確かにあのバラ園の物で間違いない。
そこにはもう、あれだけ大勢いたトランプ達の姿はなかった。
ふと、すべり台の横に小さな扉が見える。
開けてみると、そこには上に続く階段。
トランプ達が会話をしながら上っていくのが見えた。
たぶん、この階段はトランプ達の部屋に戻るための物で…すべり台はバラ園の作業をする時に下ってくるための物なんだろう。
こんな場所があったなんて、体が大きかった時は気づけなかった。
私はそっと扉を閉じる。
そして女王様達と出会った広間に続く扉を探し始めた。
バラ園の隙間にあるトランプ専用の細い道は、今の私にはちょうどいい広さで歩きやすい。
道が終わり、扉の前まで来て一息つく。
ずいぶんと長い間、走ってきたような気がする。
疲労が溜まった足が悲鳴を上げている。
それでも、あと少し。
この先に行けば外に出る扉がある。
「…行かなきゃ」
そう呟いた瞬間、私の周りの物がどんどん小さくなっていった。



