「誰…!?」
見上げると、紫色をした獣の耳と尻尾。
風船のように宙に浮く女の子がいた。
「私は通りすがりのノラネコだニャア、よろしくアリス」
「あなたも女王様の騎士?私を捕まえに来たの?」
「いいや、どっちの味方ってわけでもないニャア」
ニヤニヤと笑みを浮かべるネコさんは、太ももに長くもふもふの尻尾を巻き付けて遊んでいる。
その琥珀色の瞳が私を見て細められた。
「でも敵ってわけでもない…ここから逃げたいかニャア?大ピンチのアリス」
その問いかけに、私は素直に頷いた。
ネコさんはテーブルに近づくと、並んだ食品の中からドリンクの入った小瓶を取る。
それを私へと差し出した。
「これは?」
受け取った小瓶には文字が書いてある。
“ドリンク・ミー”…私を飲んでという意味だろうか。
「それを飲んで、足元の扉をくぐりニャア」
「足元の扉?」
視線を向けると、確かに前方の壁…その下に小さな扉が設置されている。
大きさは、あの動くトランプがちょうど入れるくらい。
「ここはトランプの通り道なの?」
「ん?トランプ兵に会ってたのかニャア?」
「トランプ兵…?」
「あいつらは女王様の忠実なしもべ。ちなみに今アリスを捕まえようとしてる四人は、それをまとめる隊のリーダー…各スートの兵長達さ」
後ろで再び扉の歪む音がした。



