囚われアリスは館の中


寒いのかな…?

女王様の肩がかすかに震えている。

伏せられた顔からは表情が読めない。


「…入ったの?」


彼女の赤く色づいた小さな唇が開く。

瞬間、室内の雰囲気が変わり、肌を焼くようなピリピリとした緊張感が辺りを包んだ。


「わたくしの庭に…無断で入ったの…?」


「それ、は…あなたの庭だなんて知らなくて…」


彼女の声は聞いただけで分かるほどに怒気をはらんでいて、私は口ごもりながら後ずさる。

バッと顔を上げた女王様は、整った眉をつり上げて怒声を放った。


「言い訳は結構!女王であるわたくしの許し無しに庭に入ったうえ、その花びらを摘むだなんて許しがたい行為よ!」


そう叫ぶなり、女王様が私へと指を差す。


「お前達!この無礼な不届き者を今すぐ捕まえて!処刑台で首を落とすのよ!」


『承知致しました、女王様』


聞こえた物騒な言葉に、血の気がひいていく。

処刑台とか首を落とすとか…冗談だよね…?

それでも、目の前で叫ぶ女王様が嘘を言っているようには思えない。

バラ園に入った理由を話せば、許してくれるんじゃ…。

そう思って慌てて口を開いた。


「あのっ…私、確かにお庭に入ったのは認めるけれど、それはそこにしか道が無かったからで__」


そこまで話した瞬間、横から凄まじい勢いの何かが腰に当たる。

強い衝撃と痛み。

私の体は払いのけられ、宙に浮く体が反対側まで吹き飛んだ。