中に入り、後ろ手に扉を閉める。
トランプの声が遮断され、私はようやく深いため息を吐いた。
少しだけ気分が落ち着き、ぐるりと新しい部屋を見渡す。
大広間のような場所だ。
そこには似つかわしくない黒光りする処刑器具が置かれていて、私は肩を強張らせた。
視線を移す。
頭上には、さっき階段で見たシャンデリアと同じ作りの物がピカピカと輝いている。
その下には白い丸テーブルと豪華な赤いイスが置いてあり、奥には扉が一つ。
そして、何より気になったのは左側の大きな扉。
その横にはハートの形の窓ガラスがあり、その向こうには空と森が広がっている。
「もしかして…あの大きな扉から外に出られる…?」
期待に胸を膨らませて扉へと駆け寄ろうとした。
その時。
まさに今、向かおうとしていた大きな扉が静かに開いた。
そこから現れた人影に、思わず足を止める。
黒と赤でまとめられた、高級感のあるふんわりとしたドレス。
ツヤのある黒い髪の毛を高い位置で二つに結んだその人は、白く美しい肌をしている。
小さくて可愛い体の女の子。
宝石のように赤い瞳が、私を見て値踏みするように細められた。
「…あら、アリス。ご機嫌よう」
鈴を転がしたような幼く、愛らしい声。
初対面のはずなのに、それはどこか懐かしかった。
私の名前を知っている様子の彼女へ尋ねる。
「あなたは誰…?」



