囚われアリスは館の中


その姿はなんだか危なっかしくて、とてもじゃないけど見ていられない。

時間をかけて私の目の高さまで登ってきたそのトランプに、優しく声をかける。


「ねえ、危険な思いをしてロープを登らなくても…あなた達も、シャンデリアまでの通路を使わせてもらえばいいんじゃない?」


トランプは体をひねり、左右に揺らす。


「それはできないよ、ルールだもの。“シャンデリアを掃除するトランプはロープを登っていかなければいけない”んだよ」


「何なの、それ?そんなもの誰が決めたの?」


「それは女王様が__」


答えようとしたトランプの手から、ロープが滑り落ちる。


「あっ…」


トランプは小さく声を上げて、ヒラヒラと舞うように落下して…。

そして、パタンと床に倒れ込んだ。

悲鳴を上げそうな口元を両手で押さえる。


「大変…!」


ピクリとも動かないトランプ。

私は急いで階段を下った。

辿り着いた扉の前、横たわるトランプの体をそっと手のひらの上に乗せる。


「ねえ…大丈夫?ねえってば…」


人差し指で優しくその体をつつく。

だけど、トランプは動く気配がない。

どうしよう。

その場に立ちすくんでいると、頭上から笑い声が聞こえてきた。