囚われアリスは館の中



「赤いカギにしようかな…?」


手に取ったカギはツヤツヤとした赤に染まっている。

私はそれを使って赤い扉を開けた。

その先にあったのは…下へと続く白い階段。

天井を見ると大きなシャンデリアがぶら下がっていて、まばゆい光りを放っている。

扉を閉めて、階段を下りていく。

体重を乗せた爪先が当たり、コツンと小さく音を立てた。


「この先には何があるんだろう…」


手すりの無い階段から落ちないように、そっと下を覗きこむ。

上に下に、そして螺旋(らせん)状に渦巻く階段の終わりに扉があるのが見えて胸をなで下ろした。

この階段は長いけれど、終わりが無いわけではない。

それならひらすらに足を動かすだけだ。

コツン、コツンと階段を下りる音だけが辺りに響く。

私以外に人はいない。

それなのに、どこかで何かが動く気配がするから気味が悪い。


「…あら?あんな場所にロープなんてあったかしら?」


視界の端に映った物に目を向ける。

長くて太い麻紐(あさひも)のロープが、上空からぶらんと垂れ下がっている。


「おーい、結んだから登ってきていいぞー!」


聞こえてきた高い声に、私は天井を見上げた。

そこには、シャンデリアの上で動く小さな何かがいる。